駐車場のポスレジ「ピーポス」10周年
「ピーポス」がはじめて現場で使われたのは、
トアロードにある
「パークトアロード」。
入出庫記録の第1号は
2002年12月6日
でした。
その日から、
まもなく10周年というカウントダウンのさなかの12月1日、
中山手通にオープンしたのが
「ピークラブ中山手通」です。
もちろんこの駐車場が、
ピーポスの10周年を記念してつくられたわけはなく、
たまたまの偶然にすぎませんけど、
それにしてもすばらしすぎる!じゃないですか。
そんじょそこらの駐車場とちがうんですから。
神戸の景観を心配してしまうほどバカでかいこの有人立体駐車場は、
土地も建物もイーエスプランニングさんが所有するという、
県下ナンバーワン駐車場管理会社のまさにフラッグシップ。
わたしの感慨もひとしおです。
まことに、まことに、
おめでとうございます。
" "(/*^^*)/
さて、
いったい
ピーポスっていうのは何なのかっていうと、
それは、
駐車場に特化したポスレジです。
ふつうの小売店舗とは、
料金の計算がだいぶちがいますから。
ポスレジもふつうじゃないんですよね。
みなさんが
クルマをとめるときのことを思い出してください。
朝の9時から正午までは1時間600円なんだけども、
正午から6時まで15分おきに300円で、
6時をまわると11時までは1時間800円になり、
11時から次の日の朝の9時までは
とめっぱなしで2000円。
でも1日の料金の上限は、
お泊まりなしなら3500円‥‥(◎_◎;)
‥‥みたいな。
こんなややこしい料金計算を、
入庫時間と出庫時間から計算するポスレジ。
クルマのナンバーによってご利用履歴を管理して、
どこの駐車場にとめても共通のポイントがたまるポスレジ。
駐車中のクルマの台数をつねに把握し、
時間帯ごとの満車率をグラフで教えてくれるポスレジ。
そんなかしこいポスレジが、
パソコンとその周辺機器だけ
で
2002年に実稼働しはじめてから10年がたちました。
ご利用第1号店の
パークトアロードさんでは
いまも
ピーポスががんばってます。
なんの因果か、
のちにわたしはその
パークトアロードさんの目の前、
歩いて1分のマンションに住まいを移すことになり、
毎朝
パークトアロードさんを拝んでから出勤してるという‥‥
わたしの感慨もひとしおです。
「ピーポス」はこうして生まれた
わたしの最初の仕事は
クツ屋さんでした。
自社の工場でクツをつくり、
直営店舗やフランチャイズ店舗で売る。
その生産工程から流通、在庫、
そしてポスレジを使った販売までを、
一貫して管理するために
「エムウェブ」を使えないかという‥‥
はじめっから全国規模の話で、
ありがたいけどちょっとビビる。
まだわたしは独立準備段階で、
エムトーンっていう会社もつくってない、
一匹狼のプログラマ。
いや、
狼よりよっぽどタチの悪い獣だったかも。
あれは、
1996年。
そんなころに、
いまでいうSaaSのしくみを提案し、
必ず実現できると確信し、
無理だ無茶だと反対する輩には牙をむいてましたから。
残念ながら、
クツ屋さんからいただいたのは、
工場のほうの生産管理から入出荷管理までで、
ポスレジのプランはお流れに。
わたしの構想は
オクラ入りとなりました。
頭の中にあったのは
全体最適の図
ただひとつ。
このデータベイスが世の中小企業を変えるのだと叫び続けた王とわたしは、
盲信狂として迫害され、
あやうく国外追放の憂き目にあうところでした。
時は流れて2001年、
神戸の居留地に出てきたわたしは、
できそこないのクラウドERP(※当時は
「クラウド」という用語はなし)を抱え、
誰にも理解できないデータベイスに
なおも固執することを止めませんでした。
そんなころ、
わたしの描いた
全体最適の図に、
敏感に反応した経営者が現れたのです。
キミんとこ、これ、
すごいことやってるやんか。
はあ。
自分ではそう思っとるんですけど。
会計までできんのか。
ええ、まぁ一応。
すごいやんか。
それ、
うちの駐車場の料金計算に応用でけへんかな。
はぁ‥‥そっちですか。
それは別に簡単やと思いますけど。
え、
そうなん?
タイムカードみたいなもんでしょ。
そやそや。
うちのこれ、
タイムカードもありますし、
出勤記録から給料計算もできますから。
「入り」と「出」の時刻を管理するっちゅう意味ではな、
車も人もいっしょやもんな。
給料計算ができて
駐車料金の計算がでけへんという理由はないでしょ。
そやけど、
駐車場によって料金体系もいろいろあるで。
給料かて、
正社員やらパートやらいろいろありますやん。
ウチは「1分精算」っちゅうのんやってんねんで。
こんな料金計算やっとるとこ、
他にはあらへん。
そっちのほうがむしろやりやすいと思いますわ。
計算が単純やから。
1時間に20台くらい出たり入ったりすんねんで。
車種や車番まで入力したとしても
1台あたり30秒切るはずですよ。
へーっ、ほんまか。
それがほんまやったら有人の駐車場では画期的なことやわ。
あ、
ほんまですか。
そらそうやで。
無人パーキングのほうのしくみはどんどん進んでるけど、
有人のほうはここ何十年も変わってないねんもん。
どうせナンバー入力するんやったら、
それでマイレージとかやったったら喜びますやろな。
そんなんできんの?
できますよ。
何万台でも、何百万台でもいっしょなので。
大きなデータベースほど得意なのでウチは。
ええ話やんか、
それ。
会員カードも作らんでええし、
ドライバーにしてみたら知らん間にポイントがたまるってことなんで。
そやそや、
そういうこっちゃもんな。
駐車場に特化したポスレジの傑作
「ピーポス」は、
ま、
だいたいこんなようなやりとりを経て生まれることになりました。
のちにこの
「ピーポス」は、
この豪腕な中小企業家によってあれこれと周辺機能が練り固められ、
堅牢なビジネスモデルとして昇華してゆき、
特許も取得。
いまではイーエスプランニングさんの管理する
「ピークラブ」ブランドの、
10箇所以上の駐車場で活用され、
神戸でナンバーワンのパーキングシステムへと進化しています。
大きなビジネスも小さなヒラメキから。
えてしてそんなもんでしょうねぇ。
自分の持っている技術を、
どこで役立てたらいいのかわかってなかった変態的な技術バカが、
鋭い嗅覚を持ったひとりの経営者によって救われたという、
ありがたいお話でした。
ちなみにこの鋭い嗅覚の持ち主は、
今年の春、
兵庫県中小企業家同友会の代表理事に就任されました。
こんな人とときどきしゃべってるだけで、
わたしの経営センスも劇的に改善されたことでしょう。
本人の知らないあいだに‥‥ですね。
ありがたいお話です。
なにかの参考になりましたでしょうか。