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レジのお金が従業員によって盗まれる。悲しいことですが日常茶飯事。被害額が数百万円に上ることも珍しくない。 じゃあ防犯カメラや指紋認証といったITツールで内部犯行を食い止める発想でいいんでしょうか。 見込んで育てた社員の犯行なら、全責任は経営者にあります。

レジのお金はこうして盗まれる

ポスレジのシステムを手がけて10年以上たちますが、
はじめはぜんぜん知りませんでした。
こんなに頻繁に
レジのお金が盗まれている現実
です。
あ、
またですかっていうくらい、
日常茶飯事だったんですね。
数万円程度の小銭なら、
誰にもまったく気づかれず、
証拠も残らない完全犯罪がいとも簡単に成立してたんですね。
中小企業家同友会で多店舗やってる仲間の社長に聞いてみても、
出るわ出るわ。
例外なく痛い目にあってます。
もちろん、
ポスレジを使って管理してるお店なら、
営業終了時にお札と硬貨を金種別にきちんとカウントして、
現金合わせをやってないところはないでしょうから、
単純にレジから現金を抜き取るだけの手口ではすぐにバレます。
でも盗まれる。
一日の売上が20万円を超え、
入れ替わり立ち替わりのアルバイトが3人を超えてくると、
もうスキだらけ穴だらけで防ぎようがない。
その典型的な手口は──
「レシート要りません」と答えたお客さんの売上の一部を、
現金受領が終わっておつりも渡したあと、
打ちまちがったことにして精算キーを押すまえに取り消してしまい、
その差額分の現金をあとで抜いて自分のポケットへ

ってやつ。
飲食店によくあるケースでは、
注文伝票であらかじめ顧客に合計金額を提示して、
レジ精算前に現金受領を済ませてしまう
やり方。
そうしてレシートも領収証もいらないと言われたら、
何品かオーダーを取り消してから精算処理をする。
きちんとお客さんにレシートを渡していても、
あとで売上を取り消ししてしまえば同じこと。
ふつうはバレそうに思うが案外そうでもないらしい。
インテリジェントなレジほど、
他品目の取消(または返品)の処理が一斉にスピーディにできるので、
かえって盗みやすいといえなくもない。
モノは確かに出ていったが、
店にカネは入ってない
>それじゃあ在庫が合わなくなるから気がつくんじゃ‥‥
って思いますか?
なるほど、
仕入れたものをそのまま右から左へ売る物販では、
バレる確率も高くなるかもしれませんけども。
在庫管理なんて、
そう簡単じゃありませんよ。
棚卸ってもんを毎日やってなきゃ、
在庫が合わなかったとしても、
いつから合ってないのかわからない
商品単価が1万円以上で、
もともと在庫が少ない店なら比較的安全でしょうけど。
いちばんヤバいのはやっぱり飲食店でしょうか。
材料がグラム単位でごちゃまぜにされて、
調理されて商品ができあがる。
数で見破るのはほぼ100%不可能です。
うず式カリキュラム 犯人だって、
自分のやってることがどれだけバレにくいことか、
ちゃんとわかってます。
最初はほんの出来心ってやつ。
額も小さい。
バレてもごめんなさいで済んでたかも。
しかし幸か不幸か、
バレない。
3日たっても1週間たっても、
誰からも何も言われない。
気が抜けるくらい簡単にカネが抜ける。
商品を盗んだら換金する手間がかかるけど、
キャッシュを盗んだら正味の増収。
こうなったらもう転がり落ちるように常習犯ですわな。
毎日3千円~5千円はチョロい。
団体さんの宴会が集中する忘年会シーズンなら、
1~2万は抜ける。
あっというまに300万とか500万とか、
銀行強盗もびっくりの
立派な刑事事件に発展です。
で、
そんな盗難が起こったときに、
犯人を見つけられそうなシステムだったから
っていうのが、
実は当社のポスレジが選ばれた理由のひとつだった
と、
あとでわかったとき、
なんともいえない複雑な心境になります。
大きな額を着服する常習犯は、
それなりに勤続年数が長くて馴染みの顧客も多い店長クラスなんだそうです。
たとえ防犯カメラがレジのほうを向いてまわっていても、
営業時間内の操作(指の動き)があくまで適性なら問題なし。
あとは閉店前に
レジから現金を出して数える担当者がいちばん現金をくすねやすい。
そんな業務の担当割りも店長の仕事ですから。
>根性あるヤツやと思って完全に信頼してたんですわ。
>うちの店がいちばんしんどかったときに、
>辞めんと残ってくれたんあいつだけやったからね。

それなのに、
悲しすぎるお別れの日がやってくる。
根性あるから辞めなかった‥‥
じゃなかった。
違法な裏口収入が大きかったから、
他の人より特別にがんばった。
‥‥
‥‥痛い話
‥‥です。
あってはならない横領が発覚すれば、
警察沙汰にはならなかったとしても解雇は免れません。
日常の管理がずさんな店の場合、
仲のよくない同僚がオーナーにチクって発覚することが多いようです。
背中にゾワっとしたものが走る瞬間です。
犯人を絞りこむための手段はいくつかありますから、
疑いはほどなく確信に変わります。
盗みをやりそうな人に見えない‥‥
どころか、
明るくて快活でテキパキ仕事をこなす。
だからこそ若くして店長に抜擢されたと思われるAさんが、
犯人だったとわかったときの暗澹たる気持ち‥‥
たとえ前科はつかなくても、
この先のAさんの人生はしんどいでしょうね。
立ち直れる可能性はかなり低いです。
盗みのスリルとうま味をいちど覚えてしまったら、
かなりの確率で、
また別の店で再犯をくりかえすことになるでしょう。
‥‥
管理水準の高い会社ほど、
異変に早く気づくことができるのは事実です。
在庫管理はやってなかったとしても、
ある期間の集計で、
仕入総数と販売総数はわかりますから。
特定の担当者が、
出勤している日と休んでいる日の利益率の差もわかる。
店舗ごとの返品率を月次集計で確認していれば、
ある店舗の数字だけが飛び抜けていたら気づく。
疑念をもたれて網を張られてしまえば、
犯人は確実にあぶり出されます。
何時何分何秒に、
Aさんが何を売って何を取り消したか、
何の目的でAさんがキャッシュドロアを開け、
そのとき何万何千何百何十何円の現金がそこにあったか、
すべてを記録するのがポスレジですから。
リアルタイムに、
遠隔から全スタッフの挙動を見張ることもできてしまうのがクラウドですから。
しかしそんなことで、
犯人がわかりましたって聞いたって、
うれしくもなんともありません。
よかったですね
なんて言ってられません。
ほんとうのところ、
Aさんがいつからやってて累計でいくら盗んだかっていうのは、
わからないものです。
本人にだってわからない。
会社側もショックが大きすぎて、
追求する気力も残っていない。
それはひとつには、
自社の管理体制の甘さが原因だからっていう理由があるでしょう。
売上がごまかされて現金が抜き取られても気がつかないんだから、
たしかに盗んだほうも悪いけど、
それだけ会社がマヌケだってことなんじゃないかと考える。
しかしそれ以上に、
見込んで期待して育てて信用して、
責任ある立場に就いてもらった仲間
が、
軽はずみな出来心とはいえ犯罪に手を染めてしまったという事実が、
あまりにもショックで‥‥ショックで‥‥
つらいんです。
それがきっかけで当社のシステムにリプレースっていうケースは何度かありましたが、
被害額が大きくても警察沙汰にしたという話は聞きません。
訴えたって、
証拠のデータが揃わなければ被害額の確定もできませんし、
つまりお金が戻ってくることもない。
お金を取り戻すことが目的ならむしろ、
逆に刑事事件にしないほうがよいそうです。
Aさんはあくまで、
お金を盗むつもりなどなく、
一時的に拝借しただけだった‥‥
と、
そうことなんです。
あ、く、ま、で、
ちょっと借りただけですぐに返すつもりだった
と。
すぐに返すつもりがずるずると長引いて、
ちょっと借りるだけのつもりがついつい回数が積み重なって、
気がついたら数百万円!??
──なんてことがあるわけないやないかっ!!
って話なんですけども、
お金を返してもらうことが大事ならそういうことで割り切ることにするんです。
>返すつもりでした
って本人が言うのでしたら、
だったらそこは信用して返してもらいましょうって。
たとえちょっとずつでも返し続けるなら、
もはや犯罪とはいいがたい。
だいたいこのくらい借りた

本人が申告した額くらいは回収できた事例もあります。
が、
たとえ無事にお金が戻ってきたとしても、
そんなことより、
ひとりの人財を失うことが何百倍もつらい。
大きな組織ならどうか知りませんけど、
家族みたいな感じでやってきたんですから。
本人に諭して、
じゅうぶん反省しているなら、
解雇しないという選択肢があってもいい。
けど、
辞めさせるヤツと辞めさせないヤツ、
どうやって線を引くか
っていう葛藤もわかります。
組織がまだ未成熟でルールらしいものもなく、
経営者の腹づもりひとつで線引きができるなら、
お金を給料から天引きして返済させながら、
雇ったまま立ち直らせる道もあるでしょう。
そんな甘い処分を知って、
他の社員が反発することもあります。
しおらしく反省しているように見えても、
それは一時的なこと。
ほとぼりが冷めたら絶対またやる。
だからつまらない温情は捨てて、
刑事告訴して、
できるかぎりの証拠資料を揃えて民事訴訟まで持ちこむべき
と、
そう考える人もあるでしょう。
‥‥どうでしょうか。
従業員が盗みをはたらくなんてこと、
はじめから起こらないのがいいに決まってます。
が、
クラウドのポスレジなら犯人が絞りこめるから、
それが抑止力になるんじゃないかっていう考え方はいかがなもんでしょう。
防犯カメラも、
従業員を監視するために取りつけるのだとしたら抵抗あります。
タイムカードを身代わりで打つヤツが多いからって、
指紋認証にしてしまえ‥‥みたいな発想はやめてほしいです。
そこはやっぱりね、
社風なり企業文化ってものが最強の歯止めとなって、
しみったれた動機を根こそぎ喝破してほしい。
きれいごとだと言われるでしょうけども、
こう見えてキクゾウの頭の中は性善説のY理論
当社のシステムを導入していただいて、
データの集計やら活用の方法を何度も打ち合わせさせていただき、
販促企画なんかもいっしょに考えたりしているうちに、
うちの社員も店長さんとはけっこう親しくなります。
つまらなさそうな顔で仕事してたりすると、
つい経営に口出ししたくなってしまう。
たとえ短期のアルバイトの出入りが激しくて、
従業員教育もへったくれもない現場だとしてもですよ、
やり方はきっとある。
この店で仕事するってことは、
他の店で働くこととはちがうんだと、
誇り高くプロの腕を磨ける店なんだと共感してもらえる手立てがきっとある。
そう信じてまた今年も、
経営指針書に気合いをこめましょう。
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